現場が抱えるジレンマ⑤ 建設業への雇用圧力-協力雇用主に加点措置
2015/04/01特集企画/PR
建設メール
法務省は本年度、刑務所出所者を雇用した協力雇用主(建設業者等)のために、新たな支援強化策を創設して、職業訓練のメニュー拡大などを盛り込んだ、建設業への雇用促進を粛々と進めている。直接的な現金支援、入札制度上の特別措置を振り返り、建設業への一種の雇用圧力について考えてみたい。
法務省は刑務所出所者を雇用した協力雇用主へ奨励金制度を作り、3億8200万円を予算化した。出所後速やかに安定的で継続的な就労へ移行するため支給額は半年間まで毎月8万円、その後は3カ月ごとに9カ月目と12カ月目は12万円ずつ支給する。保護観察対象者の雇用にも最長1年間で42万円の奨励金を協力雇用主に支給する。
また、協力雇用主の割合が高い建設業には、よりよい人材供給と建設業の労働力不足を補充するために、く体工事科を従来の人数より20人増やし120人とする。さらに、内装施工科も20人増やし180人とし、職業訓練科目の定員を増大させる。
こうした動きは入札契約制度上において地方自治体でも広がっている。10県近くで協力雇用主としての登録企業、保護観察者対象者を雇用する企業に入札資格審査で評価する。例えば、栃木県では総合評価において栃木県就労支援事業機構が実施する就労支援で雇用すると加点している。北九州市は4月の格付けから協力雇用主に対して工事業者に10点配点する。札幌市でも4月の定時登録から協力雇用主に5点付与する。
業者にとって命綱となる入札契約制度を引き合いに、優遇措置、入札契約制度での加点措置といった「あめ」を与える。建設業は雇用の半ばアピールを超えた、押し付けととられ兼ねない刃が鼻先にちらつかされていると言っても過言ではない。