【秋季土木部長等会議+記者の眼】 発注見通しの統合公表へ調整
2016/12/12記者の目/論説
建設メール
公共工事の品質確保促進に向けた取り組みを国土交通省幹部と都道府県・政令市の土木部長が意見交換する秋季ブロック土木部長等会議が、北海道・東北を除く7ブロックで終了した。秋季は品確法運用指針等の徹底と建設現場の生産性革命の推進が大きなテーマで、今回、施工時期の平準化に向けた発注見通しの統合や検査書類の共通化と簡素化の検討・調整を行うことを確認したほか、都道府県発注工事でのICT土工の試行を促した。
施工時期の平準化では、地域単位で発注見通しを統合し一覧表で公表する取り組みについて、2017年度から運用開始できるように各地域発注者協議会で調整を進めることを確認した。
適切な設計変更に向けては、設計変更ガイドラインの運用とともに現場に繰り返し説明することで着実な浸透を図る。また、自らの発注関係事務の客観的な取り組み状況を把握するための全国統一指標について、各協議会で議論した上で本年度中に統一指標を決定し、指標値によるフォローアップを実施して発注者単位で結果を公表してもらう見通しを説明した。
監督・検査の厳格化、合理化では、検査の際に必要な書類について、各自治体の実態を確認しながら地域の実情に応じて共通化・簡素化を検討することになった。
建設現場の生産性革命では、担い手の確保・育成に向けて国交省がICT土工や週休2日モデル工事の取り組みを紹介した。ICT土工は先進的な県の事例を紹介しながら、積極的な試行実施を要請。各土木部長からは「小規模土工での実施事例紹介を」「進めるスピードに注意が必要」「地域の建設会社にとって企業戦略上のメリットを説明する材料がほしい」などの意見が出た。また、ICTの全面的活用には受発注者ともに人材育成が急務であるため、講習会や現場見学会を通じて、見て、触れる機会を増やすことが必要とされた。
〈記者の眼〉
ICT土工の普及加速には地方自治体発注工事での実施が欠かせないが、都市部中心の政令市をはじめ、市区町村でICT土工が早期に発注されるとは考えにくく、まずは都道府県での積極的な取り組みが期待される。一般的に新たな取り組みを普及させるには、ある程度一気に進める必要がある。ただICT土工の場合、地方自治体や地域建設業者が取り組みに付いてこれない限り全国津々浦々まで普及することは難しい。来年以降は、そのさじ加減が重要になるだろう。今後、小規模土工でも導入するメリットがあることが分かれば前向きに検討する発注者・受注者は必ず出てくる。しばらくは様子を見るという姿勢はある程度仕方がないとはいえ、他人事、無関心だけは避けてもらいたい。