見たもん勝ち ～建設業応援団～
〈日々の栞〉 長寿企業への変化
2024/01/10コラム
日々の栞
▼日本工業経済新聞社水戸支局は、2024年をもって開局70周年を迎える。一口で「70」と言えばたやすいが、その道のりは決して楽ではなかったはずだ。戦後の混迷期を抜け出しつつあった開局当時の1954年に自衛隊が発足。現在に至るまで、石油ショック、高度経済成長、バブル崩壊、阪神淡路大震災、東日本大震災などさまざまな事件、事故、災害が日本史に刻まれている
▼水戸支局と同様に創業から節目を迎える周年企業は、茨城県内に多数存在する。帝国データバンクによると、県内の周年企業は全2562社。際立っている企業は、伊勢甚本社の創業300周年だろう。ホテル事業や不動産事業など手広く展開。21年から新事業を立ち上げた
▼企業生存率という単語を耳にする。中小企業白書（17年）によると、起業から5年で81・7％が経営を維持できている。また、東京商工リサーチの調査（20年）では、5万件弱の企業が廃業届を出していることが分かる
▼企業が継続的に営業活動を続けていくには、さまざまな課題を克服しなければならない。時代に合ったサービスを継続的に提供するはもちろん、後継者問題、人材確保・育成、資金繰り、信用構築などが山積する
▼組織や人は、長年の経験が蓄積し独自の慣習、ルーティンが無意識に形成される。全てを否定する訳ではないが、慣習や先例にとらわれてしまっては、現代の環境に適応できず、企業も人も社会からいずれ淘汰（とうた）される。ダーウィンが「進化とは変化」と言ったように、時代に合った業態へと変化させることが300年級の長寿企業となるヒントかもしれない。（茨城・YM）
