見たもん勝ち ～建設業応援団～
〈日々の栞〉 固定観念にとらわれず
2024/03/15コラム
日々の栞
▼新年度に向けて各自治体が予算発表を行う時期となった。物価高騰などの影響を受け、厳しい財政状況の中いかに効果的な予算を編成するかに苦心したと振り返る首長が多く目立った印象だ
▼そうした中、東京都交通局が運営する都営地下鉄の全駅でホームドアの整備が完了した。当初、全駅での整備に必要とされる費用の試算は、車両の改修費だけでも20億円だったというが、実際にかかった費用は約270万円。魔法のように予算が削減され、当初の予定より大幅に前倒しでの完成となったが、その仕組みを考案したのは都の一担当者だというから驚きだ
▼仕組みはいたってシンプル。電車にQRコードを貼り、電車が動かないことをホームに設置されたカメラが確認。車両のドアが開いたらホームドアも開き、ドアが閉まればホームドアも閉まるというもの。通常は、車両とホームに無線装置を設置する必要があるため、車両の改造が必要で膨大な予算が伴うという
▼前例にとらわれず、さまざまな鉄道会社が駅のホームを利用するという課題もある中で、このアイデアが生み出されたことに感銘を受けた。担当者が、課題解決に向けて常に考え続けたからこそ実現したのだろう
▼自治体が各事業を進める際にも、時には立ち止まり目先を変えることで、新たな仕組みが見つかるかもしれない。新たな仕組みにより予算を大幅に削減できれば、他の事業の拡充やより多くの新規事業に着手できるという好循環が生まれる。厳しい財政状況の中での予算編成だからこそ、固定観念にとらわれない驚くようなアイデアが生み出されることを願うばかりだ。（群馬・KO）
