見たもん勝ち ～建設業応援団～
【UR都市機構インタビュー】 石田優理事長「人口減少社会でどのようにまちの活力を維持するか」
2024/05/21インタビュー
建設メール
 |
|
ＵＲの方針を語る石田理事長
|
2024年4月に都市再生機構（UR）の理事長に就任した石田優氏は、これからの方針について「人口減少社会でどのようにまちの活力を維持するか」が重要な課題となると見解を示した。今後の取り組みやURと建設業の展望などについて話を聞いた。
―理事長に就任し、これからの経営方針について
石田 国が定める第5期中期目標は、都市再生、賃貸住宅ストックの活用、災害対応の3本柱となっている。URが設立されて今年で20年。これまで積み上げてきた取り組みを進めていく事が使命だと考えている。その一方、社会の変化に対応する必要がある。人口減少社会で、どのようにまちの活力を維持するかが重要。かつての人口増加社会の時代から、社会的使命は変わらないがその手段は変化していく。
―重点的に取り組む事業について
石田 まちづくりは個別の地区では、民間が中心となる。全体を見通したビジョンを持ち、広域的なまちづくりに、交通関係や公園など公共的な要素を入れてまちの価値を高めていくことがURの役割である。
―事業を推進する上で課題と対応について
石田 社会情勢で資機材高騰など厳しい面はある。その中で公共的な役割として、まちづくりへの価値を高める必要がある。過去の経験から生かせるものを生かし、地方の人口減少などの課題へ、都市機能の維持・改善の方法を考えていかねばならない。
―組織運営や人材育成・活用の方向性
石田 さまざまな部門や地方にノウハウや人の繋がりの蓄積がある。それらを共有し、組織の知恵として活用していく事が重要だと思う。ほかの部署で積んだノウハウをどのようにつなげていくのかが、人材と組織の育成に重要だとも思う。
―普段心掛けていることは
石田 情熱と共感の両立を心掛けている。自分の意欲と相手のやりたいことを考え、互恵的な関係をつくる事を目標としている。相手に合わせてやり方を変えるだけではなく、問題と解決策を広げて相手と自分のやりたいことを包括することがコツだと思う。
―建設関係のコスト増傾向への対応について
石田 既存のストックの活用法が重要。バリアフリーなどの改修が必要となる。活用しつつベターな居住環境の整備が重要となる。セーフティーネット対象の人が入居できる場所も提供していきたい。
―建設業にこれから期待すること
石田 建設業界もURも課題がある。建設業界はコストの他に工期など人手不足の問題があり、建設DXなど効率化に努力していることは承知している。発注者側からも連携して受発注者双方の効率化と負担軽減へ、連携していきたい。
【略歴】いしだ・まさる
1986年東京大学法学部卒、建設省入省。2021年国土交通審議官、22年復興庁事務次官、23年東京海上日動火災保険顧問を経て24年4月から現職。62歳、京都府出身
1986年東京大学法学部卒、建設省入省。2021年国土交通審議官、22年復興庁事務次官、23年東京海上日動火災保険顧問を経て24年4月から現職。62歳、京都府出身
