見たもん勝ち ～建設業応援団～
〈日々の栞〉 引退にはまだ早い
2024/06/03コラム
日々の栞
▼若い頃は脇目も振らずにがむしゃら。もしくは何も考えず流れのまま。ゆえに見えていなかったことも多々あるものだ。あぁ、あの時それが分かっていればなぁ。年を重ねて気付き、今より華やかな人生を頭に描く
▼かの師の言葉に耳を貸さず、親の言葉も軽くスルー。時に「うるせえ」などと暴言を吐く始末。それが後にジリジリと響いてくるとは何とも。やはり人生の先輩の教えは尊い
▼明治時代、人の平均寿命は40歳代だった。それが飛躍的に伸び、今や「人生100年時代」。60歳代は若い方。70、80歳代でも元気な人は大勢いる。しかし、いまだに世の中のしきたりは、そうした人を「隠居する年代」のように扱う
▼それが来年から少し変わってくるようだ。国は2025年4月から「65歳までの雇用確保」を義務付ける。各企業において定年延長、定年制の廃止、65歳までの継続雇用制度の導入のいずれかの実施が求められる。経済的に助かること以外に社会とつながる機会が得られることは大きい。労働を強要されるものでもなく、選択肢が増えるのは労働者にとって朗報だろう
▼「人手が足りない」「若手獲得を」というが、若者はどんどん減っていく世の中。まずはベテランに長く働いてもらうことが当面の事業継続に必須という業界も多い。建設業においては、すでに60歳以上の職人は珍しくない。今回の流れで、さらに働きやすくなることに期待したい。長年従事することで得られる知識や経験、技術は貴重な財産であり、もったいない。自らのために、また後進のためにも、もうひと花もふた花も咲かせてみては。（山梨・OS）
