見たもん勝ち ～建設業応援団～
【広がるCCUS活用②】 創意工夫で1点加点／県土木・企業・農地が活用工事／茨城県
2024/06/14記者の目／論説
建設メール
茨城県土木部では、「公共工事の品質を確保するためには、優れた技能と経験を有する技能者を将来にわたって確保・育成することが不可欠」との観点から、2022年4月1日より建設キャリアアップシステム（CCUS）活用工事の試行を開始。対象は土木部が発注する全工事で、発注時に特記仕様書に対象であることが明示されており、契約締結後に受注者の希望により実施する「受注者希望型」のみとしている。
土木部の適用から7カ月後の2022年11月には、水道工事を発注する企業局でも試行が始まった。そして今年4月1日からは、土地改良工事を担う農林水産部農地局においても試行開始となった。企業局、農地局ともに実施要領は土木部に準じている。
試行件数を見てみると、土木部は22年度が117件で、23年度が245件と着実に増やしているが、例年発注工事件数は2000件超であることから、普及しているとは言いがたい。なお企業局は、2022年度が発注工事208件中4件、23年度が204件中9件となっている。
土木部担当者は「まだスタートしたばかり。受注者の意見を聞きながら、推移を注視していきたい」と話す。
システムの実施内容は、①事業者情報登録（元請事業者および下請事業者〔CCUS技能者が所属する事業者〕の登録）②現場・契約情報登録（当該工事の現場情報・契約情報・工事情報の登録）③技能者情報登録（1名以上）④就業履歴情報登録（カードリーダーを設置し、CCUS技能者の就業履歴情報の蓄積を30人日分〔カードタッチ30回〕以上の登録）―。
活用にあたっては、建設業振興基金が作成する「建設キャリアアップシステム現場運用マニュアル」を参照するよう求めている。
なお実施した受注者は、就業履歴一覧（月別カレンダー）や現場利用料の請求書（写し）、リーダー等の現場設置状況写真を提出する。
前記の4項目の全ての基準を満たした場合は、県の工事成績評定要領の主任監督員の「5・創意工夫」「Ⅰ・創意工夫【その他】」の項目で1点加点される。
なお、カードリーダーや顔認証型リーダーの購入費用については、県が現場での使用実績を確認したうえで、購入を証明する領収書等に基づき契約変更を行える。計上費上限はWindowsが1台あたり1万円で、iOSが3万円。1工事あたり2台まで。現場利用料（カードタッチ費用〔1タッチ10円〕）も契約変更の対象となる。
5月30日現在で、茨城県内企業のCCUS登録数は3169社。土木部で最も適用件数が多い土浦土木管内にある舗装工事業者は、「常磐自動車道や成田空港など大手の下請けの工事では必須なので、全技術者の登録は済ませた。自社が元請の工事については、どのカードリーダーが何台必要かなど悩んでおり、まだ導入していない」と準備段階だ。
