見たもん勝ち ～建設業応援団～
【広がるCCUS活用⑥】 3年間で登録者3倍／県は様々な施策を展開／長野県
2024/06/20記者の目／論説
建設メール
長野県では2019年4月から建設キャリアアップシステム（CCUS）の本格活用を開始しており、普及拡大への取り組みが進められている。建設業振興基金の統計資料によると、県内の登録技能者数は24年4月末時点の累計で1万9152人、登録事業者数は3349社（一人親方を除くと2400社）となっている。21年3月末時点では、登録技能者数が6196人、登録事業者数は1087社であることから、登録技能者数、登録事業者数とも3年間で約3倍に増加している。
県全体では20年4月から、建設工事の総合評価落札方式でCCUSの活用を評価している。CCUSを活用する場合は0・25点を加点。20年度は予定価格8000万円以上の全ての建設工事としていたが、21年10月からは予定価格3000万円以上の全ての建設工事へと、対象を拡大している。
 |
|
ICカードをかざすことで就業履歴が蓄積される
|
また、22～24年度入札参加資格の定期審査では新客観点数の加点項目としている（加点は県内本店のみ）。内容は、事業者情報の登録が完了している場合に10点を加点。また自社で雇用する技能労働者のうち登録が完了している者の割合に応じて、10％以上50％未満で1点、50％以上80％未満で3点、80％以上で5点を加点。なお、23年1月から経審で加点対象となっており、重複するため次期定期査定（25～27年度資格査定）では削除される。
建設部ではCCUS活用工事を23年5月から試行している。これは、CCUS活用にかかるカードリーダーの購入費および現場利用料を補助するもの。補助費用は支出実績に応じて変更契約で対応する。費用計上が認められるのは、受注者が①事業者情報登録②現場・契約情報登録③技能者情報登録④就業履歴情報登録―の4項目を全て満たした場合とする。実施状況の確認に当たり、受注者は工事完成時に発注者へ確認書類を提出する。発注者は、受注者から変更契約の求めがあった場合、支出実績に応じた金額を共通仮設費として積上げ計上（現場管理費率および一般管理費等率の計上は対象外）し、変更契約を行う。カードリーダー等購入に係る計上費用の上限額は、入構管理機器のOSがWindowsの場合は1万円（1台当たり、税抜き)、iOSの場合は3万円（同）。1工事当たり2台を上限とする。現場利用料（カードタッチ費用）は現場利用料の明細に基づき費用を計上。カードタッチを忘れた場合の事後補正については、建設業振興基金による請求に含まれる範囲に限り対象とする。
対象工事は建設部発注工事のうち受発注者間協議により活用を合意した工事。ただし、災害復旧など緊急性を要する工事（査定で認められている場合は除く）、工期が著しく短い工事などは除く。そのほかの主な部局では、農政部と林務部が23年8月から試行を開始している。
CCUS導入へカードリーダー購入などの費用を支援することで、二の足を踏んでいた企業が活用するようになり技術者の評価が公的に証明されれば、建設業界はさらに働きやすい業界になるだろう。建設部では、普及後に新たなインセンティブの付与も検討しているという。さらなる動きに期待したい。
