見たもん勝ち ～建設業応援団～
【労務費の基準】 実効性確保で論点示す／ガイドラインやサポート体制
2024/09/12積算・資格news
建設メール
国土交通省が10日に開いた中央建設業審議会労務費の基準に関するワーキンググループでは、次回以降に議論する労務費の基準に関する実効性確保についての論点も示された。相場観として機能する方策や公共工事の入札時の実効性、法定福利費の確保、行き渡りの担保、行政による検証が論点となる。労務費基準の活用で必要となるガイドラインの作成やサポート体制の構築などを議論する。また、条件によっては基準以上、未満の労務費もありうるとした。
議論の方向性は次の通り。
【相場観として機能】
労務費等を内訳明示した見積書のひな形の作成・普及、材工分離した見積りの勧奨などから契約に必要な労務費が確保される環境整備
国が契約交渉時の労務費基準活用方法ガイドラインを作成、官民連携で中小零細事業者等へのサポート体制を構築
あらゆる施工条件等に対応する基準ではなく、条件等により基準以上や基準未満でも差し支えないケースが生じうると整理した上で、ガイドライン等で周知対応
【公共工事入札】
予定価格・最低制限価格・労務費の基準の各制度の関係を整理し対応を議論
入札参加者は、労務費を含め適正な施工に必要な額を整理し、必要額で入札することが基本であることを踏まえた議論
労務費等内訳明示の入札金額内訳書ひな形の作成・普及、発注者による入札金額内訳書の確認方法など環境整備
【法定福利費】
事業主負担分と建退共掛金等の必要経費も、行き渡りが必要。基準と併せて示す方向で議論
見積書のひな形の作成・普及などの手法も議論
【契約後の行き渡り】
標準約款に「受注者が労務費の基準に基づく労務費を下請業者に支払うこと」「受注者が受け取った労務費を踏まえて技能者に適正な賃金を支払うこと」を約束する、コミットメントに関する条項を追加することを検討
発注者から技能者までの行き渡りを担保する契約上の取組を検討・試行
技能者への賃金行き渡りの調査手法を国の調査進捗状況も踏まえつつ、展開のスケジュール感を含め議論
【行政による検証】
発注者・元請・下請に対してルールを順守しないと指導監督の対象となることを周知するため、違反事例集など分かりやすいガイドラインを作成
建設Gメンが個々の請負契約で実地調査、必要に応じ指導監督。駆け込みホットラインの通報等を活用し、効率的に調査、実効性を高める
注文住宅の発注者等の個人に対し、勧告等を行うことは、当該個人の受注者に対する個別の影響力等を踏まえた上で慎重に判断
