見たもん勝ち ～建設業応援団～
【検証・ICTで効率化】 生産性の向上に寄与／利用者育成は時間が必要／茨城県
2024/10/01記者の目／論説
建設メール
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茨城県では、土木部発注工事における2023年度のICT活用工事実績が前年度より46件増の208件となり、生産性向上へ前進し続けている。さらに、県の優良工事表彰制度「～チャレンジいばらき～建設業者表彰」で「DX賞」も取り入れ、ICTの活用を推進している。では、実際にICTを活用している県内業者が感じている現状と課題はどうか。
「自動AIでの議事録システムを活用し、発注者間との打ち合わせに使用したり、360度カメラを使用して現場前の施工管理を行うなど、事務的な面ではすごく助かっている」との声があった。必要事項を入力するだけで、役所に行く手間が省けることにも利点を感じているようだ。
BIM／CIMに関しては、「現場で一つのものを作り上げるには、全員で同じイメージを思い浮かべて把握していることが理想となる。ある程度経験を積んだ人間は、従来の平面図を見ただけで大体のイメージをつけられるが、若手はそうはいかない。経験の浅い者でも立体的にイメージでき、かつ見たい箇所のみ数値を出せるというのも利点だ」と話した。
「ICTを活用している現場では生産性が上がっている」との認識は確実に増えている。
一方、課題としては、いずれの業者も「覚えるまでに時間がかかる」と話す。現場1件に対する作業量や作業時間について、手間が省けている感覚はないという。
「皆が問題なくICTを活用できるようになれば、働き方改革や生産性の向上にはつながると思う。しかし今は、ICTを活用できる人間を育てている段階。問題なく皆が活用できるというレベルに達するまでが大変」と、ICTへの期待と現状を語った。
担い手確保の観点では「経験の浅い若手技術者には、まず現場を覚えてもらいたい。その上で、ICTなどの最新技術を臨機応変に活用し現場を進めてほしい。結局、現場を知らなければ機械の活用も難しいと感じる」との声もあり、ICTが担い手確保の一助となっているとは一概に言えないようだ。
BIM／CIMについても「発注者指定型の場合に携わっているが、発注者側からのデータ提供がないため、データ作りから始めなければならず、手間がかかる。アウトソーシングをしているが、成果品をチェックすることで労働時間が発生している」と話す。
発注者が主催する講習会などは「参加するだけで終わってしまうことが多い」と話す業者もいる。座学で学んだからといって容易に活用できるものではないのだろう。
ICTの活用はいまだ課題が散見されるが、生産性の向上につながっている事実があり、将来的な生産性の向上や働き方改革などの礎となるに違いない。茨城県はこれからも、ICTの活用を推進し、業界の魅力向上・発展につなげていく。
