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【検証・ICTで効率化】 実施件数5年で約5倍／企業は安全面や省人化を評価／長野県
2024/10/07記者の目／論説
建設メール
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県建設部のICT活用工事実施件数
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長野県は生産性向上を推進するため、ICT技術の積極的な活用に取り組んでおり、県建設部では2019年度から入札公告する全ての工事をICT活用工事の対象としている。実施件数は初年度の19年度が57件、20年度67件、21年度115件、22年度165件、23年度270件と、年々増加傾向にある。
また、20年9月からはICT活用工事をさらに推進させるため、総合評価落札方式で評価する取り組みを行っており、「ICT活用工事の実績」の加点評価（0・25点）を開始。さらに、昨年10月からは評価対象工事を「予定価格8000万円以上」から「予定価格5000万円以上」に拡大するとともに、「当該工事において、ICTの活用を誓約する者」を評価する項目（0・25点）を追加した。
企業にICTを取り入れたメリットを聞くと、「安全管理がとても楽になった」や「省人化に繋がっている」などの声があがった。一方で、「全ての工事でICTが有効というものではない」といった課題もみられた。
安全面について、「現地での丁張作業が不要となるので、高所などの現場での安全性が向上する」や、「ICTバックホウを用いた掘削では、補助作業員の配置が不要となるため、重機災害を防止できる」といった面を評価。丁張作業や補助作業員が不要なことから省人化にもつながっていることが分かる。また、従来と同じ人数で作業を行えば、もちろん短時間で終わるため、残業時間の削減にもなる。
一方で、課題として挙げられたICTが全てで有効ではないということについては、「ICTを推進したいのは分かるが、施工プロセスを全てやるには、現場によっては逆に手間になることもある。施工プロセスの一部実施でも実績と認められる現場の要件を緩和してもらえたら」といった意見があった。
県建設業協会各支部と現地機関との意見交換会では、「現場条件により積算基準で定められた機械が使用できないことがあるので、協議を認めてほしい」や、「監督員から『生産性の向上が期待できない』と判断され、ICTを使用できないことがあった」という意見も挙がっている。
入札制度面の後押しもあり、ICT活用工事の実施件数は年々増加している。ICT活用は避けて通れない取り組みであり、過度期に様々な課題が浮上することは必然である。長野県には、県と業界団体が建設的な協議を行う場が整っている。さらなる生産性向上の実現のため、硬軟織り交ぜた対応が求められている。
