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【国交省インタビュー】　防災対策と働き方改革／業界はパートナー／佐藤由美官庁営繕部長

2024/11/27インタビュー

建設メール

佐藤官庁営繕部長

　国土交通省大臣官房官庁営繕部の佐藤由美部長は「事業を進めていく上で、設計事務所、建設業者とはパートナーのような関係」と話した。取り組むべき課題として官庁施設の防災対策を掲げ、それを担う建設業界の働き方改革に力点を置いている。

　官庁営繕の最大の使命は「いかなる時でも官庁施設が機能し続けること。大規模な地震発生が言われ、大雨などの激甚化もある中、庁舎が機能し続けられるよう老朽化対策も含め必要な対策をやっていかなければならない」と話す。そのためには持続可能な建設業が必要だとし「協力し合って、持続可能な形で事業を実施していくことがもう一つの大きな課題」だと必要な対応に取り組む考え。

　建築現場での生産性向上や新技術に関しては「生産性向上の技術などは、各社が開発しているのが主流。施工技術を取り入れるため、総合評価で提案をいただき活用している」と状況を示す。発注者側で主導的に進めているのはBIMで、その活用促進が一番大きいとみている。EIRを適用した設計業務、工事に取り組んでいるが「まだ裾野が十分に広がっていない。そこで10月に営繕BIMモデルを公表した。活用が進んでほしい」と期待する。なお、各社固有の技術も業界側で「標準化しようという話が出てくれば、国交省としてできることを最大限やっていく」との考え。

　働き方改革に関しては、適正な工期と適正な予定価格の設定を軸に図っている。工期は「月単位の週休2日、猛暑日による作業不能日などに取り組んでいる。また、公共建築工事の工期設定の基本的考え方の改定の検討している」と状況を示した。適正な予定価格には「積算基準を定期的に改訂するなど、対応は継続的に進める」とした。

　時間外労働上限規制の適用開始から半年が経過。「幸いにも大きな混乱がなく、事業は進んでいると感じている。これは、業界の努力のおかげ」と感謝。ただ、気がつかない課題などが生じている可能性もあり「必要なことがあれば、取り組みにフィードバックしていきたい」と対応への心構えを明らかにした。

　自身は建築が大好きで建築学科に進み、職業に就いた。建築は「全てが一品生産で、とても大きなものが作られる。製造業の中でもダイナミックで楽しいもの。建設業界の魅力向上へ取り組みが進んでおり、建築の魅力も多くの方に感じてもらいたい」と。

　趣味は学生時代のブラスバンドで担当したフルート。また、大学時代は日本建築史が専門だった流れで稽古に通った茶道。

【略歴】さとう・ゆみ
1992年東京工業大学理工学研究科建築学専攻修了、93年東北地方建設局営繕部建築課入省。国交省大臣官房官庁営繕部整備課長補佐、財務省理財局国有財産調整課宿舎技術専門官、国交省大臣官房官庁営繕部営繕計画調整官、整備課建築技術調整室長、計画課長などを経て7月から現職。

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