見たもん勝ち ～建設業応援団～
〈日々の栞〉 万博は何を遺すか?
2025/10/07コラム
日々の栞
▼閉会まで残りわずかとなった大阪・関西万博。最も印象的な大屋根リングは大部分を解体し、リユース品として希望者に譲渡することとなるという。一方、1970年大阪万博の「太陽の塔」は8月に国指定重要文化財に指定された。10年後に大阪万博と聞いて人々が思い浮かべるのは果たして何だろうか
▼万博は期間限定のイベントだが、規模の大きさゆえに跡地利活用も大がかりなものとなる。知名度にあぐらをかいていれば、あっという間に過去の遺物ともなりかねない。万博開催をその後のまちの発展につなげられるかは、開催地となった自治体の先見性と手腕が試されるところだ
▼国内で過去に開催された万博は計5回。茨城県では1985年につくば万博が開かれた。つくば市御幸が丘の万博跡地は現在、約6haの記念公園を除いて工業団地となっている。産業・研究分野の誘致が進んだのは「科学技術の街」のイメージを全国に広めた万博のレガシーと言えるかもしれない
▼他の事例を見ても、公園等の公共施設として整備し管理するだけでなくアニメのテーマパークを誘致したりと、広大な敷地をいかにして生かすかはさまざま。大阪・関西万博の跡地を巡ってはカジノ誘致に対する賛否の声もあることから、負の遺産とならないよう慎重に進めてほしい
▼2027年度には横浜国際園芸博覧会が開催予定となっている。テーマは「幸せを創る明日の風景」。会場整備に建設業の力が欠かせないのは言うまでもないが、展示内容にも造園分野が深く関わることとなる。どんな風景を創り出し、何を明日に遺（のこ）すのか、実に楽しみである。（茨城・NM）
