見たもん勝ち ～建設業応援団～
〈日々の栞〉 発信する重要性
2025/10/27コラム
日々の栞
▼建設業は社会基盤を支える大きな使命を担っている。道路や橋、学校や病院といった公共施設から、住宅や商業施設に至るまで、人々の暮らしのあらゆる場面に建設の力が息づいている。しかし現場の仕事は目立ちにくく、完成して初めて存在を意識されることが多い。良いことをしていればいずれ誰かが気づくという考えは一理あるが、それだけでは十分とはいえない
▼施工にあたっては地域住民に配慮して騒音や振動を抑える工夫をしたり、災害時にいち早く復旧活動に取り組んだりする姿勢は、本来大きく評価されるべき行為だ。例えば完成式典の際にこのような工夫を行ったと示したり、災害復旧後は地域住民を招いての感謝状の贈呈を行うなどの発信が必要だと考える
▼発信がないことで当然のことと片付けられ、努力の重みが伝わらないまま終わる可能性がある。発注者や地域に情報を届けることは、単なる自己宣伝ではなく、信頼を築くための土台となるのではないだろうか
▼さらに建設業界では人材不足が深刻化している。安全対策や環境への配慮、最新技術の導入などを積極的に公表することは、業界全体のイメージ向上につながり、若い世代にとっての魅力にもなる。黙ってやるだけでは理解も共感も得にくい時代だ
▼建設の現場には誇るべき取り組みが多い。技術の研さん、安全への責任感、地域社会への貢献など、これらを胸に秘めたままにせず、言葉や行動で示すことが必要になる。よいことを実践するだけでは半歩足りない。それを知らせることこそが、建設の価値を社会に根付かせ、未来を切り開く力となるのではないだろうか。（群馬・KO）
