【西日本豪雨】 ドローン活用し実態調査/産学民で初の試み
2018/09/06業界動向
建設メール
ドローンシティ協会(DCA、松田学理事長)と日本防災教育振興中央会(防教中央会、仲西宏之代表理事)は、産学民3者共同で西日本豪雨の被災地実態調査を15日から17日の3日間にわたり広島県内3カ所で実施する。ドローンによる産学民共同での被災地実態調査は全国初の試み。今回の調査では6機のドローンを導入する。
DCAは災害に備えたドローンの活用を目的に本年3月に設立。今回の実態調査は防教中央会の構成団体である、ひろしま県防災教育振興協会から西日本豪雨の被災住民が抱える不安などについて相談を受け、広島工業大学の環境学部地域環境学科の田中健路准教授と検討して実施が決まった。
実態調査では15日に広島県呉市で「ダム放水と下流域での因果関係の証明」、16日に広島市で「住宅密集地での土砂崩れの実態調査と今後の避難計画と避難訓練」を計画。ドローン撮影映像などを見ながら専門家がその場で知見し分析、同市安芸区七丁目地区の住民と一緒に対策を考え、次の大雨に備えた避難計画および避難訓練を行う。17日には山陽自動車道志和トンネルで「主要道路の再被害予想箇所の調査と対策」を実施する。
実証実験を踏まえ、災害可能性の予想と発生時の適切な対応により被害を最小化するモデルの策定を目指しており、策定後は西日本豪雨被災地や甚大な水害リスクの高い地域へと展開していく。
また本格的な防災ソリューションへの取り組みを主な事業とするPROTECT ZIPANGU(東京都新宿区)を設立。ドローンを活用して町をバーチャルリアリティで再現し防災対策などを促す。現在は大阪府柏原市で実態調査を計画しており、今後、全国展開を図る見込み。
DCAの松田理事長は、国内の自然災害リスクは高まっているとしながら「地元住民が参加することで、どのようなリスクがあり、どんな対応が必要かを一緒に考えていくことが防災のポイント」と説明。さらに発災時の初動やドローン飛行の規制などについて「行政に対しての意識改革のきっかけにつながるのも目的の一つ」と話した。
今回の実証実験の結果は27日に東京コンファレンスセンター・品川で開催される危機管理カンファレンス2018で報告する予定だ。