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【革新的技術】 生産性向上へ本年度は25件を現場試行
2019/07/30建設時事
建設メール
国土交通省は、建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクトを進めている。30日には都内で昨年度の試行結果に関する報告会が開かれ、土木工事の現場で試行した33件のうち、9件の技術について概要、導入効果、達成状況などを施工者等が発表した。また本年度に現場で試行する25件の技術が明らかになった。
本年度の対象技術のうち、データを活用して土木工事における施工の労働生産性の向上を図る技術で13件、品質管理の高度化等を図る技術で12件が選ばれた。選定された技術は国交省直轄工事以外に、高速道路会社や自治体発注工事も含まれており、工事を受注した建設業者と建設業者以外の関連企業が設立したコンソーシアムが地方整備局等と委託契約を結び、現場で試行に入る。
同プロジェクトでは、公共土木工事の建設現場からデジタルデータをリアルタイムに取得し、これを活用したIoT、AI（人工知能）をはじめとする新技術を試行することで現場の生産性を向上させるもので、取得データはクラウド環境などによって随時、発注者等と共有する。
本年度の官民研究開発投資拡大プログラム（PRISM）で国交省に配分された予算の一部を活用し、工事とは別に新技術の試行に伴う人件費・機械経費・情報通信経費・設備費・諸経費などに充当する。試行状況は積極的に広報するとともに、事後評価も行う。
関東甲信越地区で選定された対象技術は次のとおり。※▽試行場所①コンソーシアム構成員②工種③概要（試行内容）
◎施工の労働生産性向上
▽鬼怒川左岸（船玉伊佐山地区）=①大林組、芝本産業②土工③GCPレスUAV活用による測量の実施および精度検証
▽国道17号新三国トンネル=①フジタ、ジオサーフCS②トンネル③重機搭載レーザースキャナおよび自動追尾TSにより、トンネルインバート工の掘削時、コンクリート打設時にリアルタイムの3次元出来形計測を実施
▽新潟県魚沼市下倉=①町田建設、日本建設機械施工協会施工技術総合研究所、福井コンピュータ、興和②法面工③UAV写真測量、レーザースキャナ、移動式レーザースキャナを組み合わせ、法面の3Dデータを取得し3Dモデルを作成
◎品質管理の高度化等
▽国道51号神宮橋=①淺沼組、先端建設技術センター、北海道大学、名古屋大学、ミオシステム②橋梁下部③現場映像活用による遠隔臨場のための通信速度、情報精度等の機能向上を実施
▽東埼玉道路大川戸地区=①東京建設コンサルタント、奈良建設②土工③施工現場の画像とIoT機器により取得した重機の位置や作業員のバイタル・位置等とをひも付けし、品質・施工・安全管理を効率化
▽埼玉県幸手市惣新田地先=①金杉建設、アクティブ・ソリューション、創和②土工③重機に搭載したレーザースキャナにて盛土等の締め固め時に高精度かつ高密度な地盤データを収集し、リアルタイムに出来形確認を実施する
▽千代田幹線=①奥村組、大阪大学大学院、日本建設機械施工協会施工技術総合研究所、コンポート、伊藤忠テクノソリューションズ、演算工房②下水道（シールド）③シールドトンネル工事の掘削において掘進データをクラウドへ蓄積し、クラウド上に構築した方向予測AIにより方向予測を行う
▽中部横断自動車道塩之沢川橋=①JFEエンジニアリング、ACES②橋梁上部③床版の配筋検査においてUAVにより撮影した画像を解析し、出来形確認に活用
▽大河津分水路=①小柳建設、小松製作所②土工③従来は対面で行っている発注者との協議を、MRデバイスを活用し遠隔で協議を実施して効率化を図る
▽国道18号妙高大橋=①清水建設、シャープ②橋梁下部③高精度ステレオカメラによる床版配筋画像データにより配筋の出来形確認を省力化
▽北陸自動車道（富山県朝日町月山～新潟県上越市柿崎）=①NIPPO、横河技術情報②舗装工③舗装工事における舗装厚および舗装幅の計測にカメラ撮影データや人工衛星から得られる座標情報を活用し検査の省力化を図る
