見たもん勝ち ～建設業応援団～
【提言】 女性の定着促進⑤（山梨県）／官民一体で入職後押し／女性の魅力を工事現場に
2020/05/20特集企画／ＰＲ
建設メール
山梨県内でも女性の定着促進に向けた機運が高まっている。
県建設業協会青年部会の会員企業女性従業員などで構成する「けんせつ小町甲斐」は精力的な活動を続ける。女性が活躍できる環境づくりや安全・衛生面など建設業の職場環境の改善、女性向けの情報発信などを行っている。
現状について大村基一部会長は「県内には女性技術者の数が少ないが、リクルート活動を行った結果、いろいろな業種のほか、国土交通省の甲府河川国道や富士川砂防事務所、県県土整備部の女性職員が参画している」と話す。
課題としては、各会社で女性技術職のできることをもっと増やさなければならないこと、現場に出て重い物を担ぐには体力的に厳しいことなどを挙げる。このほかにも時間拘束の問題がある。子育てには職場の勤務体制や仕事への関わり方など課題は山積み。これは工事の発注者側も一緒になって考えるべきと訴える。各企業にも「女性を入職させるメリットがないと増えないと思う」と厳しい現実を突き付ける。 行政側には「女性技術者が入職した企業には何らかの補助金や助成金制度があってもよい」と希望を語る。 実際に女性技術者は現状をどう考えているのか。
中村建設（甲斐市）の池谷実莉さんは「一番大変なことは体力面。男性と比べたら当然劣るので、看板や重り・カラーコーンなどといった資材の物運びに時間がかかる」と語る。さらに「夏は作業着の素材が薄いので透けるのが気になる」という。また女性用トイレの設置について「男女別で2台用意しなければならないので、スペースの確保が難しい」と課題を口にする。
一方で、安全衛生用品メーカーには「軍手や安全靴の身にまとうものは男性サイズが多く、女性用や小さいサイズといったものが身近なところで簡単に手に入らない。女性商品のさらなる開発を」「資材や道具の軽量化が必要。女性でも簡単に持ち運べるように」と女性ならではの注文も。
行政に期待することもある。「女性が現場に出て働くことを少しでも評価してもらえたらうれしい」。そして女性の活躍を知ってもらう機会をもう少し増やし「女性がいる建設現場が当たり前になる手助けを」と訴える。
池谷さんを雇用する中村国男社長は「女性の体調面などデリケートな部分も考え、周囲が男性よりも繊細な関わり方をしなければならないこともある」と話し、「真夏の暑い時期の日焼けや冬の寒い時期での現場仕事には特に目を配っている」と明かす。
山梨県は人口減少が著しい。行政も建設業者も女性の定着促進により、男性を含めた若者全体の入職増加に力を入れている。女性入職の取り組みはこれからが正念場だ。
