見たもん勝ち ～建設業応援団～
【提言】 女性の定着促進⑥（新潟県）／成功例の共有鍵に／「仕事任せて」の声切実
2020/05/21特集企画／ＰＲ
建設メール
建設業の元気を女性から！をキャッチコピーに2017年、にいがた土木女子会議（NDJ）が発足した。新潟県と県建設技術センター、県建設業協会女性部会が連携して始動。土木建設業に関わる女性全てをメンバーと考え、業界のイメージアップや働く環境の改善を目的に活動する。小中学校への出前講座や現場見学会は年に30校を超え、交流会は貴重な情報交換の場となっている。 瀬戸民枝代表（県糸魚川地域振興局地域整備部長）は「女性たちは職場に相談できる女性やロールモデルがいないことが多い。まずは外へ出す機会が必要と考えた」と話す。切実なのは、もっと仕事を任せてほしいという声だ。結婚、出産というライフイベントもあるが、挑戦したい思いの女性も多い。「大事にされ、実力がないままでは自信も持てない。行き過ぎた配慮は排除になってしまう。管理職も背中を押して、任せてみてほしい。成長には、続けること。活動を通じて背中を押したい」（瀬戸代表）。
NDJは確かな実績で評価されてきた。しかし、会員女性が出張講座に出かけると「どうしてお前が?」と社内の男性に言われることも。一つの現場を任されると休みづらいのは男性も同じ。男性が子どものお迎えのために定時で帰ることを笑う事例もあった。女性に限らず、従来の働き方が難しい少数派には偏見がある。「女性の定着促進に向けた建設産業行動計画」も周囲の意識改革を掲げるが、現実は社風に左右されがちだ。
制度も後押しする。新潟市では参加要件に女性技術者の配置を求める入札を試行。周知期間を経て17年から導入した。予定価格5000万円以上、通常S～B級のところをC級まで拡大し、毎年土木1～2件、建築1件を発注。公平性や、中身が伴っているのかという懸念の声もあるが、歓迎の声も大きい。
男女問わず業界を盛り上げたいという建設業協会女性部会。NDJと連携した各種講座はもちろん、トイレの開発、支部や協会を超えた拡大懇談会を通じて女性の声をすくい上げる。
地場大手で働く女性は指摘する。「若手は男性の方が辞める印象。建設を学んできた女性は、簡単な雑務ばかりでステップアップの機会がない。一方で女性の部下にどう接したらいいか分からないという声も聞く。あらゆる方向からの成功例を共有し、じわりじわりとでも、良いかたちにつなげたい」
別の地場大手で働く女性は子育てを機に退職したが、求めに応じて復職した。「復帰後はとにかくチームで仕事をすることを心掛けた。コロナ禍で痛感したが、誰かに偏った仕事は脆弱。誰でも対応できれば皆が有休も取りやすく、周りに迷惑も掛けない」
斎藤奈々子女性部会長は「担い手は男女ともに貴重な存在。ICTなどの技術はあるが、なんといっても最後は人だ。これからも全力でサポートする姿勢を打ち出していきたい」と力を込める。
