見たもん勝ち ～建設業応援団～
【建設業許可】 5年ぶりの47万業者超えは将来の分岐点
2020/06/01業界動向
建設メール
2020年3月末時点における建設業許可業者数は47万2473業者となり、5年ぶりに47万業者を超えた。5年ごとに更新を迎える建設業許可業者数は年度で多少の差が出るとはいえ、5年前と比較しても微減にとどまっており、最近は業者数の安定傾向がうかがえる。ただし許可業者数が最も多かった00年3月末時点からは約13万業者減っていることは事実であり、これ以上の減少は回避したいところだ。
近年は建設投資が01年度の水準まで回復していたことを踏まえると、業者数がピークだった当時よりも生産性が向上し、技術革新が進んだ現在の受注環境が激化しているとは考えにくい。実際に工事量や利益率などは改善傾向が見られる。毎年多くの廃業等があるものの、それを上回る新規業者がいるということは、建設業界の将来性に期待する見方があることを意味する。今後は建設投資の確保はもちろん、許可業者数の安定が建設業界の未来を占う分岐点となる。
東日本建設業保証などが四半期ごとに実施している建設業景況調査では、建設企業が直面している経営上の問題点は数年前までは「受注の減少」と「競争激化」が上位を占めていたが、最近は「人手不足」が最多で、「従業員の高齢化」が続いている。担い手の確保・育成は従業員だけでなく、経営者自身が直面している課題でもある。特に後継者不足により引き継ぎがうまく行かずに休廃業や解散を余儀なくされる事例は多く、国土交通省の調査では小規模になるほど後継者問題を課題と考える割合が増えている。今後の会社の経営継続には円滑な事業承継が必要不可欠となる。
建設業法改正により、10月からは社会保険加入が建設業許可・更新の要件になる一方で、経営業務管理責任者の要件緩和や建設業許可の円滑な引き継ぎといった事業承継を後押しする新たな仕組みが動き出す。新型コロナウイルス感染症が今後の建設業界に与える影響は未知数だが、法改正を機に次世代へのバトンタッチに向けた計画的な事業承継を考える必要がありそうだ。
