見たもん勝ち ～建設業応援団～
【一人親方問題】 不健全な働き方に歯止めを／検討会で対策探る
2020/06/25建設時事
建設メール
国土交通省は25日に「建設業の一人親方問題に関する検討会」の初会合を開き、実効性ある施策の検討に着手した。職種ごとの一人親方の実態把握、規制逃れを目的とした一人親方化対策、一人親方の処遇改善対策などの課題を検討し、年度内に一定の方向性を取りまとめる。
冒頭、土地・建設産業局の美濃芳郎審議官は「偽装一人親方化」の問題に触れ「建設業の不明瞭・不明確な雇用・請負関係という前近代的なものであり、建設業のイメージ悪化の要因にもなっている。これまで行ってきた社会保険加入対策の取り組みの根幹を揺るがす、大変由々しき問題」と指摘。「一人親方問題にしっかりと向き合い、不健全・不公正な働き方に歯止めをかけるべく、実効性ある対策を進めたい」と述べた。座長に就任した芝浦工業大学の蟹澤宏剛教授は「この産業の積年の課題で、一番大事な問題である」と強調し、協力を要請した。
建設業で本格的な社会保険加入対策が進み、企業単位・技能者単位ともに他業種と遜色ない水準まで加入率が上昇する一方で、法定福利費等の諸経費の削減を意図して技能者を個人事業主化する、いわゆる「偽装一人親方化」が進んでいる懸念が生じている。業界関係者からは、実態として規制逃れ目的の一人親方化への対策を早急に講じるべきとの意見が多いため、新たに検討会を設置した。
総務省の労働力調査（2019年平均）を基にした国交省の推計では、一人親方の人数は51万人。また厚生労働省によると、建設業の一人親方の労災保険の特別加入者数は昨年3月末で59・5万人となっている。
初会合では主な論点を整理。各職種（団体）における偽装一人親方に対する認識や定義付け、実態も請負形態である適法な一人親方の定義付けと処遇改善策を検討する。さらに、偽装一人親方への対応として技能者本人へどのように認識させるべきか、偽装一人親方として仕事をさせている企業に対する措置、現場での確認作業における建設キャリアアップシステムの活用などを探る。
9月までに開く次回の会合では、各論点に対する意見を関係する建設業団体から聴取し、調査結果を共有するほか、一人親方問題に関する議論をさらに深めていく。
国交省では、適切な働き方等を認識してもらうため、技能者へ直接訴えかける取り組みとしてリーフレットを作成・周知を図るとともに、ホームページやツイッター等の活用も行っている。
