見たもん勝ち ～建設業応援団～
【就任インタビュー】 全測連・方波見正会長／測量業の価値高める／若手が育つ環境に
2020/07/22インタビュー
建設メール
全国測量設計業協会連合会（全測連）の会長に就任した方波見正氏（ホコタ設計コンサルタンツ代表取締役、茨城県）は「この大変な時期を乗り越えるために、まずは各地に足を運んで地域ごとの現状や課題を知りたい」と抱負を語る。 さまざまな活動で日本中を巡り、現地の人と交流した経験を積み重ねてきた。その中で地域の多様性を実感したという。「日本全国と一口に言っても、北から南までそれぞれの地域の特性がある。同じ地区でも東と西で様相が全く異なることもある。一地域で成功している方法を全国に適用することはできない」と、俯瞰的な視点で各地域を見た上で、何ができるかを考える必要があると話す。
業界の課題である働き方改革については「残業を機械的になくすことで、先輩の仕事を見たり手伝ったりしながら、勉強して技術力を磨くことができなくなってしまうという弊害もあるのではないか」と指摘。「将来的に活躍する人材を育成するためには、若手にとって仕事をしやすく、同時に確実に成長できる環境を整える必要がある」と力を込める。
人材育成の観点は災害対応にも及ぶ。勤務時間外だからといって若い人を遠ざければ、災害への意識も薄れるだけでなく、自分の仕事が役に立っているという実感も持ちにくい。「災害対応の現場を見てもらえば、測量の価値が伝わり、やりがいを感じられる。それが若手の入職促進や定着につながる」と強調する。
「測量の仕事は、道路や建物のように結果が見えるものではないので、重要性がまだまだ理解されていない。測量の質が低ければ、その後の設計、施工にも影響していく。測量業界の存在価値を広め、職業としての魅力向上を図りたい」と意欲を見せる。団体同士のつながりもさらに強化していく必要性を感じており「事務局間の連携にとどまっていることも多かった。今後は役員や会員もするべきだと思う」との見解を示す。
精力的な活動への活力の源は何なのか。「転機は高校時代。茨城全土から集まってきた同級生の中で、埋もれないために発言するようになった」
高校卒業後、若くして独立し、団体活動においても頭角を現していた。そのため上の世代にいろいろと言われることもあったが、わが道を行った。
自分の目標を達成するために、信念を持って突き進むことが大切だとする方波見会長の今後のかじ取りが注目される。
【略歴】かたばみ・ただし
茨城県立水戸農業高等学校農業土木科卒。1969年に牛久測量設計事務所入社。71年に鉾田測量設計事務所設立。75年に組織変更し、鉾田測量設計事務所代表取締役に就任。83年にホコタ設計コンサルタンツに名称変更。団体活動では2002年に茨城県測量設計業協会（現・県測量・建設コンサルタント協会）会長就任。現在は理事・相談役。70歳。鉾田市出身・在住。05年に建設事業関係功労で国土交通大臣表彰受賞。07年春の褒賞で黄綬褒章受章。
