見たもん勝ち ～建設業応援団～
『業界全体でダンピングが起きない仕組みを』 国土交通省不動産・建設経済局長 長橋和久氏
2021/09/16インタビュー
建設メール
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長橋局長
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国土交通省不動産・建設経済局の長橋和久局長は「防災・減災、国土強靱化や都市・住宅政策を進める場合、現場のプレイヤーは不動産業や建設産業で働く人たち。業界全体が健全で足腰が強くないと国土交通行政自体が前に進まない。国交省の中でも一番大事な局だと思っている。組織力が最大限発揮できるように省内外との連携に取り組みたい」と抱負を語る。建設業の担い手確保・育成に向けては「処遇改善と働き方改革をしっかりと進めなければならない。工期の適正化や発注の平準化に加えて、建設業界全体でダンピング受注が起きないようなシステムを整備していくことが必要」と強調する。
建設キャリアアップシステム（CCUS）に関しては「民間工事も含めたマーケット全体で働く人、建設技能者を大事にする仕組みを構築する一つの方法がCCUS。若い人が自らのキャリアパスや処遇に見通しが持て、技能・経験に応じて給与が上がることと、CCUSに加入している会社が伸びていくことが目指す方向だと思っている。業界共通のインフラとして定着するように業界団体等とも連携して前に進めたい」と説明。さらなる普及促進には「現場で浸透し登録者も増えてきているが、実際の登録者が理解して共感を得られていかなければ意味がない。本来の目的にたがわず、登録のメリットが実感されるように、いろいろな声を聞き、課題を解決しながら丁寧に進めていきたい」と考えている。
現場の技能者への適切な賃金支払いに向け、3月に赤羽一嘉大臣と建設業4団体が意見交換し、今年は「おおむね2％以上の賃金上昇の実現を目指す」という旗印を立て、全ての関係者が可能な取り組みを進めることになった。長橋局長は「CCUSの普及推進を賃上げ実現に向けた一つの手段としても進めたい」とし「コロナの影響もあって、特に建築分野では競争環境が厳しくなり、ダンピング受注を余儀なくされているという実態も聞く。いろいろな事情があるにせよ、ダンピングの横行により、また負のスパイラルに陥っていくことを懸念している。関係者の声に耳を傾けながら迅速に対応を考えていきたい」との姿勢を見せた。
【略歴】ながはし・かずひさ
1989年京大農学部卒、建設省採用。国交省土地・建設産業局不動産業課長・不動産市場整備課長（併任）、大臣官房参事官（人事担当）、大臣官房人事課長、大臣官房総務課長、道路局次長、大臣官房総括審議官を経て本年7月から現職。55歳。愛媛県出身。
