〈壁耳〉 契約時には消費税率にご注意
2016/09/13記者の目/論説
建設メール
記者 国土交通省が建設業関係団体に対して建設工事の請負契約における消費税率の取り扱いに関する文書を出したと聞きましたが、どういうことですか。
デスク 簡単に言えば建設工事の契約締結の際には、引き渡し時点における消費税率に留意してくださいということだね。
記者 消費税率の10%引き上げは、当初予定の2017年4月1日から19年10月1日に2年半先送りになりましたよね。
デスク 確かに消費税率引き上げ時期の変更に伴う税制上の措置は8月24日に閣議決定されている。ただ現時点で必要な法改正が行われていないため、厳密に言うと本年10月1日以降に請負契約を締結した建設工事で、17年4月1日以降に引渡しを行うものは消費税率10%が適用される。引渡日が17年3月31日までの工事や、引渡日が17年4月1日以降の工事を本年9月30日までに契約した場合は、税率は8%になる。
記者 特に話題にもなっていませんし、誰も気付いていないのでは。
デスク 秋の臨時国会で法改正が行われるのは間違いないが、それまでの期間に契約する場合、現行の法律に従うならば8%なのか、10%なのかを迷う人が出てくる可能性もある。法律を真面目に読んでいる人が混乱しないように、念のために文書を出したということ。
記者 そこまで考える必要があるのですね。
デスク コンプライアンスが叫ばれている建設業界にとって法令を順守することは当然。そうなると法令順守の徹底を図れば図るほど、今回のような疑問が生じてもおかしくはない。
記者 消費税率を引き上げるのも、引き上げを延期するのも大変なんですね。