見たもん勝ち ～建設業応援団～
建設業倒産は低水準続くも「ウッド」の次は「アイアン」ショック
2021/12/09業界動向
建設メール
帝国データバンクが明らかにした2021年11月の全国企業倒産集計によると、建設業の倒産件数は前年同月比2件減の90件となった。コロナ禍の当初は厳しい局面にあったものの、経営への影響は限定的で、防災関連のインフラ公共工事の発注や民間工事も相応に回復するなど、業況が比較的良い状態にあることもあって倒産傾向が落ち着き、約1年にわたり月間で100件を下回る低水準が続く。ただし、足元ではウッドショックに続き、建築鋼材やセメント、板ガラスなど主要な建材にも価格急騰の波が押し寄せている。鋼材価格が半年間で2割以上上昇したものの、工事価格への転嫁は難しいとの声があるなど、当面は採算性に乏しい受注競争を強いられる可能性が高い。そのため、同社では「コスト抑制のしわ寄せを受けやすい中小零細の建設業者では、価格競争に耐えられず倒産や廃業を選択する動きが強まる可能性がある」とみている。
建設業の倒産を業種別に見ると、職別工事業が38件で前年同期と同じ、総合工事業は39件で同比11件の増加、設備工事業は13件で同比13件の減少となった。
全業種の倒産件数は468件で前年同月比16・9％減少となり、11月としては1964年の集計開始以降、最少を更新した。前年同期比でも6カ月連続の2桁減と、経済低迷下でもコロナ融資の効果で倒産件数が大幅に抑制された状態が続いている。同社では「年間倒産件数は55年ぶりに歴史的低水準の可能性がある」と分析している。
