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【首都高】　老朽化対策にDX活用／維持管理の合理化模索

2022/08/25建設時事

建設メール

ドローン（左）と点検ロボット（右）

　首都高速道路（東京都千代田区）は24日、荒川湾岸橋で進めている最新技術を取り入れた点検作業の現場を報道機関に公開した。

　江東区新木場と江戸川区葛西を結ぶこの橋は840mの橋長で、1700もの部材で構成されている。供用から44年がたち、湾岸部という立地もあり塗膜の剥離や鋼材腐食が急速に進み、日々の維持管理、点検の重要性が高まっている。

　ただし従来の点検通路と船上からの目視点検を基本に異常発見時にロープアクセスを行う方式では、全体の3割に満たない範囲しか目視で確認ができない。そのため、ドローンや自走式の点検ロボット、昇降式の全周囲カメラなど複数の点検ツールを活用することで、ほぼ全域の点検を可能にした。

昇降式の全周囲カメラ

　現在、同社はロボットとドローンは各1台、全周囲カメラは10台を保有しており、こうした機材を複数使う試みは初めて。現状では、まだ手探りであるが、スクリーニングに新たな機材を使用し、異常があれば目視で詳細を確認する運用法を行っている。

　また、点検データを効率的に集約する音声認識入力システムや、点群データから損傷状態を3Dモデルで表現する「3Dハンディースキャナー」も使用し、維持管理の高度化も進める。

　最新技術で得た情報は維持管理システム「i－DREAMs（アイ・ドリームス）」に集約。資料収集や現場確認、情報検索などの管理における生産性が約20倍向上することに成功している。

　新技術を積極的に活用する背景には、都心部に位置する首都高ならではの点検の困難さがある。河川上や一般道路上といった点検困難箇所が限られたスペースに造られ、複雑な構造となる事情を抱えている。

　老朽化対策や担い手確保のために、維持管理業務をいかに効率化・省人化できるかという課題を解決する方策の一つとして、新技術活用の成果が注目される。