見たもん勝ち ～建設業応援団～
〈日々の栞〉 働き方改革 敵は感覚のズレ
2023/05/12コラム
日々の栞
▼働き方改革（担い手不足解消）の視点から見る中小建設業の置かれている状況はとても厳しい。根本原因は、経営陣と現場の感覚のズレではないだろうか
▼先日、都内で舗装工事をメインに安定した経営を誇る企業（年売上高25億円）の専務取締役に話を聞く機会があった。『人こそ最大の財産』を掲げる同社。長年のアナログ体制を打破するため、同業他社に先駆けて勤怠管理や書類作成・整理のデジタル化に着手。今では、誰でもどこからでも共有できる社内システムを構築し、社員の長時間勤務抑制を図っている
▼しかし週休2日の実現は未達成。画期的と紹介されたのは、3カ月以上の現場管理を終えた従業員には土日に加えリフレッシュ休暇1日を付与。ワークライフバランス確立を十分満たしているかと問われれば、否である
▼なぜなのだろうか。働き方改革の感覚が明らかにズレてるからだ。経営者の視点では、先の取り組みは働き方改革。しかしこれは業務効率、生産性向上のための改善が主であり、現場で働く若者が求める本来のニーズには程遠い。今回話を聞いた企業は社員の働きやすさや、やりがいについて正面から向き合っているとても良い会社だ。専務の真剣なまなざしからも本気度が伝わる。人財を重んじる企業であってもこの程度。そう思ってしまうのは、理解不足の発注者や元請けの都合に振り回される中小建設業が置かれる状況に起因するため仕方ないのか
▼業種業態で大きく変わる働き方。正論主張は簡単だが一様の取り組みで解決するとは思えない。経営陣と現場の感覚のズレを疑うこと。まずはここからでは。（東京・YO）
