見たもん勝ち ～建設業応援団～
【下請取引】 工期変更9割認める／技能労働者賃金も引き上げ
2024/02/01建設時事
建設メール
国土交通省と中小企業庁は、2023年度に実施した、建設工事の下請取引等の実態調査結果をまとめた。調査から指導対象評価項目で不適正な取引に該当する7043業者に対し、指導票を発送している。特に、資材等価格高騰に関連して、元請負人は下請負人から変更交渉があった際「工期の変更を認めている」が90・5％、「請負金額の変更を認めている」は95・2％の建設業者が回答、前回調査より若干だが改善。さらに、「技能労働者への賃金水準は、引き上げた（予定含む）」との回答は89・6％でほぼ9割となった。
調査は全国で大臣許可1500業者、知事許可1万500業者の計1万2000業者に郵送で実施。ほぼ例年通りの回収率77・1％で、9251業者から回答を得た。
建設工事を下請負人に発注したことがある建設業者（7613業者）が、指導対象となる25の調査項目に対し、全て適正な取引を行っていると回答した適正回答業者率は7・5％（570業者）だった。いまだ多数の建設業者が適正な取引を行っていない状況。
おおむね順守されている項目としては、「下請代金の決定方法」「契約締結時期」「引渡し申出からの支払い期間」「支払い手段」などは90％を超える状況。一方、「見積提示内容」「契約方法」「契約条項」「手形の現金化等にかかるコスト負担の協議」などは、適正回答率が低い項目となった。
【工期】
下請負人から変更交渉があった際に変更を認めている元請負人は90・5％。また、受注者の責によらない事由で工事完成が難しい場合、元請負人に工期の変更交渉を行ったことがある下請負人は83・1％。うち施工に通常必要と認められる工期へ変更されたのは92・2％だった。なお、変更を認めていない理由の一番は、あらかじめ決められた供用時期などを変更できない、だった。
【請負代金額】
下請負人から変更交渉があった際に変更を認めている元請負人は95・2％。また、元請負人との契約書に価格等の変動、変更に基づく請負代金の額または工事内容の定めがある下請負人は58・9％。さらに、変更交渉を行ったことがある下請負人は56・3％で、定めがあり交渉を行ったのは33・4％、定めはないが交渉を行ったのは22・9％。うち変更が認められたのは87・2％だった。
【約束手形】
手形期間を60日以内（予定・検討中も含む）としている建設業者は77・9％となった。60日以内とする予定がないと回答した理由としては、「特に理由はないが、現在の手形期間が慣例となっているため」が54・3％で最も多かった。電子記録債権については、導入済み36・6％、導入予定32・5％となった。
【技能労働者への賃金支払い】
賃金を引き上げた（予定含む）と回答した業者は89・6％で前回より5・4ポイント増加した。理由は「周りの実勢価格が上がっており、引き上げなければ必要な労働者が確保できないため」が最多だった。引き上げない理由は「経営の先行きが不透明で踏み切れない」を挙げる業者が多い。
【しわ寄せ】
元請負人による下請負人へのしわ寄せ状況は、元請負人から「不当なしわ寄せを受けたことがある」と回答した業者は1・6％で前年度が1・4％だったことからほぼ同じ。内容は「指値による契約」が最も多かった。
