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【広がるCCUS活用⑤】 実証フィールド必要／登録率全国ワースト2位／新潟県
2024/06/19記者の目／論説
建設メール
新潟県内の建設キャリアアップシステム（CCUS）の登録割合は、技能者が33・1％、事業者は30・2％で、ともに全国で2番目に低い（3月31日現在）。また、新潟県建設専門工事業団体連合会（新潟建専連、近喜男会長）が、会員企業を対象に行った2023年度建設専門工事業実態調査の結果、およそ半数がCCUSに加入済みとなっているものの、加入者の8割が「活用の実感が薄い」または「無い」と回答している。
調査は昨年10月に会員企業391社（回答数237社、回答率60・6％）に対してアンケート形式で実施。CCUSの加入状況は55・7％となったが、加入者の84・8％は「活用されている実感が薄い」または「実感が無い」と回答した。また、加入後56・8％が「期待通りではなかった」と答え、今後については38・8％が「期待できない・期待していない」とし、「期待できる」とした19・8％のおよそ2倍となった。
加入者の大半が活用の実感が薄い、または無いとした要因には、実際にカードリーダーが設置され、就業履歴を蓄積できる現場が少ないことが上げられる。新潟建専連の調査からも一番の問題点として「カードリーダーなど設置の少なさ」が36・4％で最も多く、次いで「手続きの問題」が28・0％と続く。CCUSに加入しても多くの企業で登録料だけが徴収されている状況だ。
CCUSの活用に取り組む新潟県内の主な発注者は、北陸地方整備局のほか、自治体では新潟県と新潟市のみとなっている。北陸地整や新潟市ではモデル工事を試行し、新潟県では24年度・25年度の入札参加資格審査申請でCCUSへの事業者登録を主観点に追加した。
モデル工事に取り組む北陸地整では、WTO対象およびBランク以上の工事に加えて、昨年度までに直轄Cランク工事での試行に新潟県建設業協会が同意。今後、県内の直轄工事でモデル工事の発注が拡大する見通し。また新潟市でも4月から設計額1億円以上の土木工事を対象に、モデル工事の試行を開始している。
現在のところ、そのほかの市町村等発注者で導入の動きは、まだ無い。モデル工事以外でのCCUSの活用については元請の判断となり、当然、現場管理料などは基本的には元請けの負担となる。
CCUSを活用して技能者が技能や経験に応じた処遇改善、将来を見据えたキャリアアップを実現できるようにするためには、まずは、実証のフィールドが必要であり、処遇改善に取り組む事業者が評価される枠組み、加えて技能者が、活用のメリットを受けられる制度本来の目的も必要である。普及のための入り口戦略だけでなく、その先の見通しもしっかり示していかなければならない。
