見たもん勝ち ～建設業応援団～
【土木学会】 インフラ体力診断の第4弾／街路空間・港湾・空港を分析
2024/06/21業界動向
建設メール
 |
|
家田委員長
|
土木学会インフラ体力診断小委員会（家田仁委員長）は17日、「日本のインフラ体力診断」の第4弾として街路空間、バルク港湾、空港の分析結果を公表した。体力診断は土木学会が行っている「日本のインフラ実力診断」の3つの診断の1つ。現存インフラの充実度を診断して、整備状況の現状と展望について評価と提言をまとめている。
家田委員長は体力診断を「インフラの主要な分野についてひと通り、診断ができたと思う。機能と安全においては世界と比較して劣るところはない。だが、利便性や顧客サービス、地方における交通などにはやや不安がある。ニーズの変化に対応せねばならない」と総評した。
インフラの文化的な側面について「戦前のインフラは、駅舎や倉庫などが観光資源になっている。今回の診断対象では特に、街路空間に改善の余地がある。文化の創出として、インフラについて考えることは、日本のインフラが飛躍するチャンスになると思う。佐々木葉会長は美観や文化などの分野が専門であり、そうした活動を期待している」と見解を述べた。
街路空間については、歩道の設置率が低いことから通学路などで安全性向上の必要性や、電線類の地中化も低水準で、歩行空間が狭められていることを指摘。生活道路における自動車低速ゾーンの普及や、自転車通行ネットワークの拡大を提言した。
バルク港湾では、船舶の大型化の進展に伴う大規模投資が必要な現状から産業の国際競争力の強化のために新たな施策が求められると分析。エネルギーおよび食料安全保障を担うバルク港湾の整備は輸送コストの低減による産業の成長や不安定化が続く国際情勢への対応力強化へつながると指摘した。
空港は、高水準の整備状況ながらも、日本は地震など自然災害が多く、空港機能の早期復旧や利用者への対応などの計画を策定し、災害時に輸送拠点としての役割を果たしていく必要があると指摘。安全管理についてもさらなる対策が必要であるとした。
土木学会は、これまで行ったインフラの体力診断を24年度中に取りまとめ、書籍として出版を予定している。
