見たもん勝ち ～建設業応援団～
【検証・ICTで効率化】 普及も敷居は高く／挑戦しやすい体制を／山梨県
2024/10/03記者の目／論説
建設メール
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業界が団結し、ＩＣＴ施工を学ぶ
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山梨県発注のICT活用工事の実績は、2023年3月末時点で、発注者指定型が6件、受注者希望型が71件となっている。
施工者は、作業時間の短縮や省人化など、効果を高く評価。ICT建機の活用で丁張りなどの作業は不要になり、作業期間が従来の1カ月から数日に縮小された事例があがる。
また、河川浚渫工事の現場（約1h）で、TS測量とドローン測量の比較検証を行ったところ、作業時間や人件費が90％削減されたケースも報告される。
県で建設DXを推進する担当者はICT施工を積極的に進め、システム環境を整備する企業も増えているが、なかなか進まない企業もある。システムに精通する技術者がいるか、いないかで導入ハードルに差がでているとも。
また、急峻な山岳地形を有しており、狭隘な現場条件のもとに、ICT建機が適用しにくい中小規模の工事が多いことも、効率化のネックになっている。ICT施工のシステム環境の構築や内製化、精通した技術者の配備など初期投資も必要なことから二の足を踏む事業者も。
県としては引き続き、ICTに関する知識向上のため、講習会など学ぶ場を設け、普及促進に努めていく。
労働負荷改善の観点からも多くの企業が挑戦し、業界全体に普及することが理想的であるが、導入費や技術者の育成など、企業の状況はさまざまである。
国に準拠する県のICT活用工事試行要領によると、2021年時点では、ICT活用工事は下記の①から⑤のうち、1以上のプロセスで技術活用をするものと位置付け、経費計上を行っていた。
①3次元起工測量②3次元設計データ作成③ICT建設機械による施工④3次元出来形管理等の施工管理⑤3次元データの納品。
一方で、24年現在では、①から⑤の全てのプロセスで活用する工事を標準実施型とし、簡易型においても複数のプロセスでの活用が必要となった。
現状に対し、企業からは、「制度と企業間とで感覚のズレが生じている。厳しい会社も存在し、いきなり求めすぎている可能性がある。もう少し細かく段階を踏まないと」と声が漏れる。
各地域の建設業協会や企業間では、座学や施工現場の見学など、講習会が積極的に開催されている。押し寄せる新たな時代の波を一致団結して乗り越えるべく奮闘している。
まちづくり、災害復旧、除雪対応など、地域の守り手である建設業界の持続発展に向けて、行政と密な連携のもと、普及促進が図られることに期待する。
