見たもん勝ち ～建設業応援団～
〈日々の栞〉 自然と、共に生きる道
2025/09/22コラム
建設メール
▼取材で初めて、群馬県みどり市の草木ダムを訪れた。展望台からは足尾の大きな山々とダム湖などが一望でき、大自然に囲まれるようにコンクリートがそびえ立つその景観も圧巻であった
▼草木ダムは、渡良瀬川に建設された1977年竣工の重力式コンクリートダムであり、堤高が140m、堤頂長は405m。治水や利水、発電など、さまざまな役割を担うこのダムは、この地域の人々の暮らしを何十年も支え続けている
▼地元建設会社の担当者から、印象に残る話を聞いた。昔から周辺地域では川が氾濫し、大きな水害が起きると集落が流され、県境さえわからなくなるほどだったという。この話は、日本の歴史がいかに自然との闘いであり、同時に共存の歴史であったかを改めて教えてくれた
▼私たちは昔から、自然を敬い、畏れながらも、その恵みを大切にしてきた。そして、時に牙をむく災害から身を守るために、知恵と工夫を凝らしてきたのだ。自然を壊すのではなく、その力をうまく生かして、人々の命と暮らしを守る。ダムは、まさにその象徴だと感じた
▼近年でも、大地震や豪雨による水害などが私たちの暮らしを脅かしている。自然の力は、やはり計り知れないほど大きい。それでも私たちは、この広大な自然の中でより良い未来をつくるために、歩み続けているのである。草木ダムの堂々とした姿は、その決意を静かに物語っているようだった。そして、そこに込められた先人たちの知恵と努力に、心からの敬意を払いたい。インフラ整備と、自然と仲良く生きていく道は、これからもずっと続いていくのだと思う。（群馬・NT）
