見たもん勝ち ～建設業応援団～
【平成アーカイブ】 激動の時代も変わらぬ使命
2019/05/07建設時事
建設業界にとって激動の時代と言える「平成」が幕を閉じた。30年の間に建設市場は大きく変わった。建設投資や建設業許可業者数がピークを迎えた一方で、急激な落ち込みを見せ、現在は徐々に回復傾向にある。入札契約を取り巻く環境も常に変化し、従来の指名競争入札から一般競争入札、電子入札、総合評価落札方式が一般的となり、近年は多様な入札契約方式の導入が増えている。大規模な自然災害の多発も特徴で、地震、台風、豪雨、豪雪といった災害からの復旧・復興に建設業は欠かせない存在になった。「平成」後半からは「令和」時代に主流となる働き方改革、ICT活用、インフラメンテナンスといった新たな取り組みが動き出している。建設業界では今後も時代の潮流に合わせた変革を進めながら、社会資本整備や地域を守る担い手としての役割が求められる。
【主な出来事】
消費税導入からバブル崩壊と経済環境が大きく変化する中、建設投資は1992年度（平成4年度）に84兆円に達し、建設業許可業者数は99年度（平成11年度）に約60万業者となり、過去最高を記録した。ただ、その後のリーマンショックや政権交代の影響もあり建設投資、許可業者数は急速に減少した。近年は持ち直しつつあるものの、ピーク時と比較して建設投資は約4割、許可業者数は約2割も少ない。
また「平成」の終盤にはi－Constructionの導入、働き方改革、建設キャリアアップシステムの本格運用など、建設業界の仕組みを大きく変える制度が始動。今後は「新3K」の実現に向けて業界一丸となった取り組みが期待される。
【法律・制度改正】
入札契約適正化法、官製談合防止法、公共工事品確法の施行など入札契約を取り巻く環境は様変わりした。公共事業等の入札契約における一般競争入札、WTO政府調達協定、総合評価落札方式、電子入札、公募型プロポーザル方式などは、いずれも「平成」に始まった。
2014年（平成26年）には公共工事の品質確保に不可欠な担い手の育成・確保を目的に担い手3法が改正・施行され、予定価格の適正な設定、歩切りの根絶、ダンピング対策の徹底などが進んだ。今国会での成立が見込まれる新・担い手3法の改正により、これからは災害時の緊急対応、働き方改革への対応、生産性向上への取り組みなどに対して法律の後押しが行われる見通しだ。
【自然災害・事件・事故】
阪神・淡路大震災、東日本大震災をはじめとする巨大地震、毎年のように発生する風水害など、大規模な自然災害が相次いだ。東日本大震災以降は、地域の建設業が「地域の守り手」として不可欠な存在であるという認識が広まっている。
「コンクリートから人へ」に代表されるような公共事業費を削減する動きもあったが、国土を強靭化し、防災・減災を進める必要性が叫ばれる中で、昨年12月には3カ年に総事業費約7兆円を投じる緊急対策の実施が決まった。
高度経済成長を支えたインフラは新設から維持管理・更新の時代に入る。激化する自然災害から国民の安全安心を守る上で、建設業の果たす役割は、これまで以上に重要となる。技術の継承、担い手の確保、新技術の導入など建設業に求められるものは変わっても、建設業の存在意義は今後も変わらないだろう。
