見たもん勝ち　～建設業応援団～

【提言】　ICT施工の現状と課題③（茨城県）／ICT施工は「手段」／活用工程をはっきりと

2019/10/23特集企画／ＰＲ

建設メール

　茨城県内でも情報通信技術（ICT）を活用した施工が拡大。国土交通省の直轄工事だけでなく、県土木部でもICT活用工事が増えている。課題もある。ICT技術を活用することが優先され、ICT活用の目的である生産性向上が後回しになっているのではないかということだ。

　県土木部ではICT活用工事の普及を目指し、2016年度にモデル工事3件を実施。地方の建設業者でもICT技術を活用できることを確認し、手応えを感じた。

　17年度は受注者希望型で21件のモデル工事を施工規模が大きい工事を中心に発注し、12件で受注者が希望。専門家の指導を受けずに多くの受注者が初のICT施工に取り組んだ。

　一方でICT施工の「成功体験」ではなくコストを気にする施工者が多く、外注任せのICT施工にとどまってしまうことが分かった。仕様である「ICT技術を使うこと」が最優先となり、生産性向上という将来を見据えた取り組みが遅れてしまうのではということがあった。

　ICT施工を経験したある業者は、ICTを活用することが前面に出てしまい、それに時間と能力がかかっていると振り返る。

　そのためICT施工の経験を重ねた業者は「工程の中でICT技術を使うべき工程では使用し、難しい工程、非効率で費用がかかってしまう工程は協議する。そこをはっきりさせた方がよい」と助言する。ICT施工にこだわり、安全性に問題が発生したり非効率となってしまっては、省力化・省人化といった生産性向上につながる取り組みという目的からずれてしまうからだ。

　ICT施工を活用する工程の「見極め」は、経験が浅い施工者では難しいだろう。試行錯誤を続けながらICT施工のポイントをつかみ、経験を積み重ねていくことが鍵になる。

　県ではICT施工の普及へテーマを持たせた発注方式が大切と考え、18年度から3次元データの取り扱いに焦点を当てた県独自の発注方式を導入。19年度からはICT土工、ICT舗装工について一定規模以上の工事は原則として対象とし、発注を大幅に拡大している。