見たもん勝ち ～建設業応援団～
【提言】 女性の定着促進④（群馬県）／職場環境の改善進む／良いイメージ伝えて
2020/05/19特集企画／ＰＲ
建設メール
建設業界で喫緊の課題となっている担い手確保対策。男女を問わず働きやすい環境の整備がこれからは重要となる。どうしても男性的なイメージが強い業界にあって、女性が入職、定着するには環境改善が重要な課題だ。業界の最前線で働く女性技術者からは「状況は改善してきている」との声とともに「これからは改善が進んでいるという良いイメージを伝えていかなければならない」との指摘が出ている。
群馬県は毎年、建設系学科高校の女子学生の不安や疑問に建設業の最前線で働く女性が答える意見交換会を開催。やりがいや現況を説明している。意見交換会に参加した女性技術者は、女性の働きやすさについて「以前と比較して確実に改善してきている」と述べる。女性用のトイレや更衣室などハード面での環境整備もそうだが、何よりも大きいのは現場で働く人たちの意識が変わってきていることだという。女性技術者が現在よりも珍しかった時代は現場での仕事が難しかった面もあったが、現在はそうした雰囲気は「以前と比べて和らぎ始めている」と語る。 また、ある女性技術者は離職してしまう理由として「やりがいや目標を見つけて頑張っていても、仕事と家庭の両立ができずに辞めていってしまう人が多い」と話す。そして「結婚、子育てと人生の節目で職場に理解があるかどうかが最も重要。育休や産休が取れるなどの制度づくりはもとより、育休・産休後も働くことができ、子育て中だからと急な早退などにも対応してもらえるといった雰囲気づくりに助けられた」と振り返る。
群馬県内の建設業就業者数はピーク時の2005年と比べて約3割減少している。さらに、全国平均と比べて高齢化率が高く、担い手の確保は必要不可欠。意見交換だけでなく、これまでにも現場への快適トイレの設置や群馬県建設業協会が主体となり、女性の目線で働きやすい環境整備を目指す「環境すみずみパトロール隊」による現場点検などの取り組みを実施している。
女子学生との意見交換で必ず出されるのが仕事と家庭の両立ができるかどうか。全ての職業で担い手不足が叫ばれる中で、一生の仕事として選ばれなければならない。自分の進路を考える上で結婚・出産などは重要な要素。仕事についての夢や目標の達成と家庭での幸せを両立できるという点が大切になる。
やりがいもあり、女性が働きやすい環境も整い始めている建設業界。女性技術者は「悪いイメージが先行しており、変わっていることを知ってもらう機会が少ない」と指摘する。ソフト・ハードでの環境整備をさらに進めるとともに、これからはその変化を伝えることが重要だ。
