見たもん勝ち ～建設業応援団～
【提言】 調査・設計の品質確保④（群馬県）／自治体間で温度差も／地道な説明が必要に
2020/06/16特集企画／ＰＲ
建設メール
公共工事品確法の改正を受けて見直しが行われた発注者共通のルールとなる運用指針では、新たに測量・調査、設計について「必ず実施すべき事項」として予定価格の適正な設定など6項目を位置付けた。群馬県内の35市町村の取り組み状況を調査すると、未実施項目がある自治体でも導入を検討するとの回答が多い。ただし、現状で不都合がないといった意見が出るなど自治体間で温度差が出ている。
必ず実施すべき事項は◇予定価格の適正な設定◇低入札価格調査基準または最低制限価格の設定◇履行期間の平準化◇適正な履行期間の設定◇適切な設計変更◇発注者間の連携体制の構築―。
各項目のうち、まず「予定価格の適正な設定」では、全ての市町村で、最新の単価により積算を行うなど適正な価格設定を行っている。
「低入札価格調査基準または最低制限価格の設定・活用の徹底」に関しては、9市9町村が行っていると回答。他の市町村も検討しているとの声が多い。未導入の理由としては、直接費の大部分が人件費で、応札者によって大きな差が出るケースがあるためといった意見や見積書の点検で対応しているなどが出ている。
「履行期間の平準化」は、7市17町村が実施している。未実施の自治体からは、調査・設計業務案件の少なさから特別な取り組みを行わなくとも問題がないといった理由が聞かれた。また、繰越明許費・債務負担の活用による平準化は、発注と財政の担当部所間での連携が難しいなどといった理由が挙がっている。
「適正な履行期間の設定」は、12市20町村で実施中と回答。行っていない自治体も、積算基準や標準歩掛を参考に設定するといった取り組みを進めている。
「適切な設計変更」は全市町村で実施中となった。ただし設計変更ガイドラインなどの策定や繰越明許費の活用について積極的な取り組みができていないとの返答もある。
「発注者間の連携」に関しては、国や県、市町村で構成する群馬県の発注者協議会への参加をもって連携体制を構築している。その上で、自治体内で発注担当課と工事担当課が違うことで共通認識ができていないなどの課題が上がった。
多くの自治体は未実施項目について検討や調査を進める方針を示す。しかし「現状で不都合がない」や「案件が少なく対応できる」などの声も出ている。
また、小さな自治体は人事異動によって情報の共有などが難しい場合もあり、取り組みの拡大に向けては地道な説明が必要となりそうだ。
