見たもん勝ち ～建設業応援団～
【提言】 コロナ禍と建設業の行方③（茨城県）／新たな取り組み加速／情報共有システムが有効
2020/12/07特集企画／ＰＲ
建設メール
茨城県では、新型コロナウイルス感染症という未曾有の事態を受けて、公共事業において入札方式の改善と設計変更、ICT施工や情報共有システムの導入推進など、新たな取り組みが動き出している。
入札手続きでは、受発注者双方に最低7割、極力8割程度の接触機会を低減させるため、競争参加資格確認申請書や資料の提出期限の延長、ヒアリングの省略、技術提案のテーマ数や提案数は必要最小限とするなど、柔軟な対応に取り組む。
県土木部監理課では、経営事項審査を原則として郵送による書類審査に変更している。市町村においても、入札方式を郵便入札に切り替えるなど、受発注者双方の負担軽減や円滑な入札契約手続きを行う動きが見られる。
設計変更では、現場従事者が使用するマスク、消毒液、シールドヘルメット等の購入・リース費用や現場事務所の拡張費用など感染症拡大防止のために必要とされる対策については、精算時に契約変更を実施する。
また、感染症拡大の影響などで特別調査の徴収が困難とされる歩掛や材料単価は見積もりにより決定する。
工期についても、契約ごとに原則6カ月を超えない範囲での余裕期間制度を活用することで資材や労働者の確保を図っている。
ICT施工や情報共有システムなど、IT技術によりビジネスモデルや組織を変革するDX（デジタル・トランスフォーメーション）の取り組みも感染症の拡大以降、加速している。
県ではことし10月にICTを活用した工事の対象を拡大。発注者指定型と3次元の測量や設計データを地元コンサルに分離発注する「チャレンジいばらきⅠ型」の土工量を1万立方mから7000立方mに変更した。 情報共有システムも有効な感染症対策として、県建設業協会などで導入に向けた勉強会・説明会を実施している。同システムはインターネット上で受発注者間の工事に関わる文書や写真、図面などの情報共有が可能で、生産性向上や管理コスト縮減を図ることができる。県土木部では、2月より営繕工事を除く建設工事で試行しており、本年度から各出先事務所で数件のモデル工事を発注。22年度には全工事で活用を予定する。
コロナ禍では、働き方の変化や新しい生活様式が叫ばれている。そうした中でも、建設業は自粛するわけにはいかない。国土強靱化や防災・減災への取り組みなど、社会的使命を果たすためにも、感染症拡大防止対策と働き方改革の加速につながる新たな取り組みが求められる。
（つづく）
