見たもん勝ち ～建設業応援団～
【一人親方化問題】 偽装対策で現場入場制限の検討も
2020/12/24建設時事
建設メール
社会保険加入や働き方改革の規制逃れを目的とした建設業の一人親方化対策等を探る国土交通省の検討会が24日に開かれ、中間取りまとめの素案が明らかになった。偽装一人親方への対応に向けては、リーフレットやチェックシート等を使って理解を求めるほか、社会保険未加入問題の時と同様に現場入場制限を設けることも検討していく。
中間取りまとめは、偽装一人親方対策と適正な一人親方に対する処遇改善策で構成する。国交省は今回、適正と考えられる一人親方について「請け負った仕事に対し自らの責任で完成させることができる技術力と責任感を持ち、現場作業に従事する個人事業主」と定義。適正かどうかは労働者性を判断基準とする。偽装一人親方への対応では「一人親方とはどういうものか」を理解してもらうために作成した現行のリーフレットを改正し、一人親方の労働者性が認められた判例を最新のものに差し替える。
また「業務遂行上の指揮監督の有無」「勤務時間の拘束性の有無」「報酬の労務対償性」「資機材等の負担」などの項目から構成する働き方の自己診断チェックリストを作成し、一人親方として現場入場する場合に活用する。該当項目が多い場合、例えば元請け企業等が下請け企業に対し、一人親方と下請け企業との間で雇用契約を締結するような指導も検討する。
一方で、一人親方として適正に事業を行っている事業主に対しては、適正取引の推進や専門性の向上、適切な報酬の確保につながる処遇改善措置を打ち出す。平均的な雇用労働者が受ける厚生年金保険給付や労災保険給付に相当する給付を受けることができるような、厚生年金保険料相当額・労災保険料相当額を一人親方との請負契約に反映させる仕組みなどを視野に入れている。
検討会では、今回の検討結果を踏まえて来年2月ごろに中間取りまとめを作成。内容は年度内に開く「建設業社会保険推進・処遇改善連絡協議会」において公表する。
