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【生産性向上】 コンクリートのスランプ値は設計時12㎝を基本に
2021/02/10建設時事
建設メール
コンクリート構造物の設計・施工段階における生産性向上を進める国土交通省は、現場打ち施工での流動性を高めたコンクリートの活用に当たり、設計業務の成果品には原則、施工時のスランプ値は12㎝を基本として記入してよいことを地方整備局へ周知する。
固まる前のコンクリートの流動性を示すスランプ値に関しては、2017年4月の通知で施工時の標準を12㎝として特記仕様書に明記することにしたが、依然として8㎝での発注事例が多い。一方、12㎝で施工した構造物において特段の不具合は見つかっていない。現状では多くの整備局で設計成果にスランプ値を記載することになっていないものの、中部と九州では独自ルールを定めている。建設コンサルタンツ協会への意見照会では、個別事業ごとに検討するよりも規定による標準化を進める方が生産性向上には有効との意見もあったため、設計段階では一般的な構造物におけるスランプ値12㎝を記載することにする。
ただし、過密配筋等の特殊な構造物は土木学会のコンクリート標準示方書等を参考に別途検討する。また、整備局で独自に指針等を定めている場合は、それに従って構わないことや、施工時に施工者自身が最適なスランプ値を選定して施工する場合も問題がないことを明確化する。
さらに、プレキャストコンクリートの規格ごとの生産性向上に関する取り組みでは、中・大型構造物へのプレキャスト製品の導入促進を目指し、特殊車両により運搬可能な規格の構造物は原則プレキャスト化する。
関係団体や建設業者等へのアンケート調査では、ボックスカルバートやL型擁壁について、条件明示要領やJIS規格製品は分割せずに陸上輸送することが可能であり、積極的な採用には好意的な意見が多いものの、輸送ルートが限定され、現場で使用できる機材に制限がある場合には採用できないこともあるとされた。
今後は輸送条件や現場条件を明確にした上で、特殊車両で運搬できる規格は原則としてプレキャスト化することとし、法令順守、事前の輸送ルート調査の徹底、輸送物に関する情報確認、車上での輸送物の固定方法・養生方法、製作や現場工程を考慮した申請手続きなどの留意事項と合わせて整備局に周知する。
スランプ値およびプレキャスト化に関する新たな方針は、一体的なものとして年度内に整備局へ通知する見通しだ。
