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【社会保険・処遇改善】 技能労働者の賃金上昇へ／連絡協で重点課題確認
2021/06/16建設時事
建設メール
国土交通省は16日、建設業関係団体や行政関係機関などで構成する第6回建設業社会保険推進・処遇改善連絡協議会を開催した。技能労働者の賃金上昇について「おおむね2％以上の賃金上昇を目指す」旗印の下で、全ての関係者が可能な取り組みを進めることになったことを踏まえ、「適正な法定福利費を削ってダンピングするような事案」の徹底した排除、技能と経験に応じた賃金支払いなどを本年度の重点課題とすることを確認。目標達成に向けて、法定福利費の内訳明示の徹底・促進と一人親方対策の推進、建設キャリアアップシステム（CCUS）の活用促進を実施していくとの認識共有を図った。
冒頭、不動産・建設経済局の青木由行局長は、これまで取り組んできた賃金上昇の流れを絶やさないための「大きな分岐点になるという危機感を持っている」と説明。「ダンピング受注をやめるなどの取り組みに一緒に力を入れ、何よりも賃金をしっかり払って上げていくことが大事」と強調し、今後も技能と経験に応じて賃金を上昇させることの重要性を訴えた。
本年度の取り組みでは、法定福利費内訳明示の活用徹底とともに、「建設業社会保険推進・処遇改善地方連絡協議会」を定着させ、社会保険加入対策や技能者の処遇改善の周知も含めて地方における取り組みを強化する。特に2％引き上げに向け、関係者自ら実施可能な取り組みの提示などを行う。
また、建設業の一人親方問題に関する検討会中間取りまとめの周知徹底では、ポイント等をパンフレットにまとめて年内にも専門工事業団体や公共発注者等に送付し、目指すべき一人親方像や透明性の高い雇用・請負関係について認識を共有する。今後の検討課題とされた「適正一人親方の目安」は、契約書の取り交わし徹底のための課題整理など、現場での実態を踏まえた運用方法も含め、引き続き検討を進める。
CCUSの活用では、技能者単位での社会保険加入確認の厳格化、国直轄での義務化モデル工事実施など公共工事での導入を図る。能力レベルに応じた賃金支払い等の処遇実現では、先行7職種対象の「標準見積書改訂WG」で引き続き議論し、それ以外の職種では賃金目安の設定を推進する。本年度から本運用を始めた専門工事企業の施工能力の見える化評価は認定職種を増やす取り組みと民間を含む発注者等への浸透に向けた検討を実施。能力評価の関係では、既存35職種以外の技能者や多能工に対する評価の在り方の確立を目指す。
協議会の蟹澤宏剛会長（芝浦工業大学建築学部教授）は「業界が一致団結して、業界として適正価格が大事であることを発信していくことも協議会の役割だと思う。CCUSの普及を進めて、それを前提とした制度の運用を早く行う必要がある」と理解を求めた。
