見たもん勝ち ～建設業応援団～
【日建連新委員長に聞く】 「コミュニケーションが大切」寺田光宏鉄道安全委員長
2021/09/08インタビュー
建設メール
 |
|
事故防止の重要性強調 寺田委員長
|
日本建設業連合会（日建連）鉄道安全委員長に就任した寺田光宏氏がインタビューに応じ、所信表明とともに重点課題などを語った。事故防止について「命は仲間同士で守っていかなければならない。最近は事故が少なくなってきているが、その分経験の少なさから想像力を働かせることが難しくはなっているので、コミュニケーションは大切」と強調した。
就任の抱負では「現在、国内の鉄道工事は新幹線、リニアなど工事量は豊富な状況で、連続立体、駅改良工事なども続いている状態。そのような重要な国土インフラを担っている鉄道工事を無事故で進めることが、国のインフラ整備の重要な部分を占めている。委員会では工事を円滑に進めることで、国のインフラ整備業務執行に微力ながら寄与できると思っている」と述べた。
今後については「安全教材部会では、これまで事故事例集や点検表などマニュアルや書籍を制作してきた。残念ながら昨年は新型コロナウイルスの影響で活動が停止してしまったが、リモートの環境も整ってきたので、今年は内容を見直した上で、精査して進めていきたい」とし、「現場では職人や技術員を含めて若返りが進み、環境も変わってきた。これまで手順書などは文書によるものが大部分であったが、動画などを採用した安全教育やVRなどの教材導入も増えているので、デジタル化の採用も考えていきたい」と思いを告げた。
鉄道工事事故防止に向けては「一つのルール無視が、大規模な労働災害に直結し、公衆を巻き込んだ災害にもなる。ボルトを1本線路内に置き忘れた事が大事故につながるケースもある。基本的なルールの順守が大切になる。そのためにコミュニケーションの強化が再認識されている。コロナ禍もあり、最近は大声での会話も控えるなどの風潮もあり、会話は取りづらい。しかし他業種からの建設業への入職が増え、外国人技能労働者の採用も注目されている。もちろん教育制度等も充実してきているが、不安全行動に対する声掛けなどコミュニケーションはさらに必要になっている」と状況を説明した。
今後の委員会活動としては「実際に稼働している現場の安全巡視は重要な施策なので、引き続き実施していく。委員内でチームを組み安全パトロールを行い、その場で意見交換をし全国へと好事例を紹介する。発注者とも共有して、それを題材とした意見交換を行って事故防止にも役立てて行きたい」と方針を語った
【略歴】てらだ・みつひろ
1979年徳島大学工学部卒、同年東急建設入社。2010年執行役員、12年4月常務執行役員、同年6月取締役兼常務執行役員、16年取締役兼専務執行役員、18年代表取締役副社長執行役員を歴任し、19年6月代表取締役社長。1957年生まれ。
