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【総合評価方式】 さらなる改善へ現状踏まえ方向性議論
2022/02/03建設時事
建設メール
国土交通省は、総合評価落札方式のさらなる改善に向けた検討を進めている。2日に今後の建設生産・管理システムに関する有識者懇談会の部会（部会長=小澤一雅・東京大学大学院工学系研究科特任教授）を開き、適正価格で良い品質の工事を調達するための改善につながる方向性を協議した。総合評価落札方式の現状を踏まえ、小澤部会長は「今のやり方について見直しをして、さらなる発展に何が必要かを議論しておく必要がある」と話した。
直轄工事における総合評価落札方式の状況によると、近年は「技術評価点1位同点者数」が増加し、「技術評価点1位と2位の得点率差」は減少傾向にあり、施工能力評価型、技術提案評価型ともに技術点の差が付きにくくなっている。施工能力評価型は、落札者に占める「最低価格者の割合」が2019年度の75％から20年度は74％に微減。価格評価と技術評価双方でトップの業者が受注する傾向が続き、技術点による逆転が少ない。技術提案評価型は、最低価格以外の落札が多く、技術点での逆転が生じているとも言えるが価格が僅差となっているためとも考えられる。工事成績評定点の平均は、経年的に上昇傾向にある。
国交省では、現状について▽入札価格は調査基準価格付近に集中▽技術評価の差が開きにくい▽工事成績の平均値からは品質低下が顕在化している状況は見受けられない―と分析。また、目的物の変更等を伴う提案を求めるタイプの適用が少なくなり、技術提案・交渉方式の適用が始まる一方で適用数はまだ少ないとしている。
国交省は今回、多様な方式の採用が可能となっている現状でも、総合評価落札方式は望ましい落札者決定方式として機能しているか、入札価格や技術評価で課題は無いかとする論点を提示。さらに、手続きに期間を要し労力もかかる技術提案・交渉方式を選択するに当たり、受発注者の負担のほかに考慮すべき事項も検討課題に挙げた。
今回、委員からは、技術評価の差が開きにくい現状の改善に向け「テーマの出し方について、もう少しバリエーションを増やしてみてはどうか」といった指摘や、「生産性向上、施工の効率化の正確な評価が必要」「落札価格の上限拘束性や調査基準価格の制約を緩和する雰囲気づくりが大事になるのではないか」などの意見が出た。
なお、同部会では今後も引き続き、改善につながる取り組みを検討することにしている。
