見たもん勝ち ～建設業応援団～
賃上げ企業の総合評価加点で全建が意見「基本給を評価対象にすべき」
2022/02/08業界動向
建設メール
全国建設業協会（全建、奥村太加典会長）は、国が計画する賃上げ実施企業に対して加点措置を行う総合評価落札方式について、評価基準見直しに向けた意見書を取りまとめた。評価方法に関しては、給与総額で評価せず、定期昇給を含む基本給のみを評価対象とすべきといった意見が出ている。
4月1日以降に契約を締結する政府調達を対象に、国が総合評価落札方式で発注する全ての調達において、賃上げを実施する企業に加点措置が行われる。従業員に対する目標値（大企業は3％、中小企業等は1・5％）以上の賃上げを表明した入札参加業者を、総合評価で加点。加点を受けた企業については、事業年度または暦年の終了後に決算書等で達成状況を確認し、未達成の場合はその後の国の調達で1年間、入札時に加点する割合よりも大きな減点措置を行うもの。
全建がまとめた、課題と評価方法、改善策等のうち、賃上げ実績の評価方法では、賞与は業績等に基づき支給されるため、賃金引き上げを事前に表明することは企業として判断が難しい点、働き方改革のもと残業を減らす取り組みを行ってきた企業は給与総額が減少するため不利な点、建設業は年により収益に大きな増減がある産業なので毎年一定の率で賃上げを行うことは難しい点などを指摘。これらに対し、▽役員報酬や退職者の給与を除いた比較可能な従業員の給料だけで評価すべき▽基本給のみを評価対象とすべき▽賞与等の業績に連動する給与および時間外手当は給与総額から除外すべき▽賃上げ実績を3年平均など複数年で評価すべき▽過去の給与変動も評価対象とすべき―とする改善策を提案している。
また、賃上げ実施による受注コストの増加に伴い、品確法で定められている適正な利潤の確保が難しくなることが懸念されるため、公共工事設計労務単価の引き上げや積算基準における現場管理費および一般管理費の引き上げを訴えている。加えて、ダンピング対策のさらなる徹底強化、上限枠、現場管理費の参入率、一般管理費の参入率についても引き上げを求めている。
