見たもん勝ち ～建設業応援団～
【安全衛生基本計画】 健康確保対策強化など／変更案が閣議決定
2023/06/13建設時事
建設メール
建設職人基本法に基づく「建設工事従事者の安全および健康の確保に関する基本的な計画」（基本計画）の変更が13日、閣議決定した。2017年の閣議決定から5年余、これまでの間にあった建設工事従事者を取り巻く状況の変化や、施策推進の成果を反映して変更した。健康確保対策の強化、人材の多様化への対応について追記が行われている。なお、基本計画が変更されたことを受け、努力義務ではあるが、都道府県計画の策定済み団体での計画変更や未策定団体の策定も期待したい。
17年からこれまでの状況変化としては、気候変動の影響（熱中症など）、石綿を用いた建築物の解体工事増加（30年度ごろピーク）、新型コロナなど感染症の発生・拡大などのほか、女性や外国人、高年齢などの労働者人材の多様化、働き方改革や処遇改善、DXによる危険作業減少や環境改善などへの期待がある。
主な追加項目は、健康確保対策の強化に関して▽熱中症、騒音による健康障害防止対策▽解体・改修工事における石綿ばく露防止対策等▽新興・再興感染症への対応―。人材の多様化に対応した建設現場の安全確保、職場環境改善に関しては▽女性の活躍促進のための取り組み▽増加する外国人労働者の労働災害への対応方法等▽高年齢労働者の安全と健康の確保につながる取り組み―がある。
また、これまでの計画内容の充実として、安全衛生対策項目の確認表、安全衛生経費を内訳明示するための標準見積書の作成・普及がある。
確認表は見積り条件提示の際に使うもので、元請け、下請けで実施分担、費用負担についてチェックするもの。汎用的な参考ひな型の他に型枠、管、内装仕上、外部足場、住宅の5工種でモデル作成を進めており、23年度からの活用を目指している。
このほか、屋根・屋上等の端、はしごや脚立といった低所からの墜落・転落災害防止対策のためのマニュアルの作成・普及（作成作業中）、足場の組立・解体中の墜落・転落防止対策の充実強化や、新・担い手3法や労働基準法を踏まえた働き方改革の推進、処遇改善、インフラ分野のDX推進、職業訓練の実施による事業主への支援などを盛り込んだ。
さらに、建設機械施工の自動化・遠隔化、ロボットの活用など安全な工法等の研究開発・普及を位置付け、生産性向上への革新的な仮設機材の開発に取り組む事業者を支援する。
